「さりげなくそこにある美しい家を」とのご要望を受けて計画した、酒津公園の桜並木の土手に寄り添う平屋の住まいです。

大らかな風土の中にありながら古くからあった屋敷群がひとつずつ姿を消し、細分化した更地に新築住宅が増え続ける周辺環境。そこに建つ一軒の新しい家は、どのような振るまいであるのが良いか。
風土に根ざした素材、控えめな屋根の高さや勾配の組み合わせ、深い軒、窓からもれる温かい灯り、家を包む垣根のない小さな庭が家と周辺を結び、心豊かな交流のきっかけとなるよう願いを込めて。

そこにある一軒の家の振るまいが、街の再生を呼び掛け、地域の暮らしを豊かに変え、地域に愛される存在となる。そのような理想の想いを込めた計画です。

酒津の家

所在地
倉敷市酒津
竣工
2014年
延床面積
142.15㎡
設計
仁科建築設計事務所
施工
株式会社 ユアハウス
作庭
福田義勝
写真
外観:しんめんもく 中庭:畑 勝明

高低差をつけたスキップフロア形式のキッチンとリビングの間にダイニングテーブルを配置し、一段下がったキッチン側からは椅子を使用、リビング側からは床に座って向かい合うスタイルに

LDKと一続きの和室の客間

キッチン上部には収納のためのロフトを配置

主寝室のコーナー窓