倉敷美観地区本町通りにある「上島提灯」の再生工事です。
度重なる増改築によって、光や風を通さず、生活する上での行動も制約を受けるほどになっていた住居兼店舗。失われていた通り土間や中庭を復活させ、街と町家と暮らしが築きあげる、豊かで活気ある関係性を取り戻すことを目指し再生しました。

1階は店舗ゾーン、2階は住宅ゾーンと、公私のメリハリあるプランニングとしています。

相次ぐ増築で埋め尽くされていた中庭は、緑を楽しみ、近所の方々も集えるバーベキューガーデンに。空間効率を向上させるプランニングによって母屋内部に必要諸室を確保した上で、減築により、1階の和室にも光を導く、光と緑あふれる中庭を復活させました。

2階部分のかつての和室は吹き抜けのリビングダイニングに設え、リビングダイニングの先にはオープンテラス。近隣の目線を気にせず夕涼みのビールを楽しむことができる空間としました。
倉敷の街並みをつくりだす、なまこ壁、本瓦葺き、倉敷窓のある重厚な町家の姿も復活。エアコン室外機も目立たない位置に移設しました。

江戸期築の町家の再生 上島提灯

施設名
上島提灯
所在地
倉敷市本町
竣工
2008年
延床面積
147.29㎡
設計
仁科建築設計事務所
施工
株式会社 坂本工務店
作庭
福田義勝
写真
atelierR 畑 亮

【Before】

【Before】

初回プレゼンテーションスケッチ。失われていた中庭とそこに通じる通り土間の復権を訴え、光と風と人が行き交う健全な町家への回帰を提案

【Before】

通り土間から2階・屋根裏のロフトへと続く吹き抜け空間

優雅さを取り戻した中庭に面する和室

ロフトを新設した寝室

土間空間は、屏風祭りやジャズコンサートのイベントなど、街に開いた多様な活動の場に生まれ変わった